ことわざ
売り家と唐様で書く三代目
意味
商売も三代目になると財産を使い果たし、家が売りに出されてしまうということ。
類句
長者三代
補説
初代が家業を始め、苦労して地位や財産を築いても、孫の代になるころにはぜいたくな暮らしや遊びで身を持ち崩し、家が売りに出される事態になってしまう、という意味の言葉です。「唐様」とは中国の明の時代(1368年~)の様式を真似たおしゃれな書体のことで、「三代目が家を売るために書いた売り家札が、中国風でオシャレだったよ」という皮肉がこもっています。継ぐことができる家業があるのは、安定した人生が約束されている、ということかもしれませんが、その生活を維持することは並大抵の努力ではかないません。経営者としての自覚をしっかりと持ち、身を引き締める必要がある、という戒めともとれる言葉です。
何代も安定して続いている老舗が、いかにすごいものなのかが見えてきますね。
「売り家と唐様で書く三代目」の使い方

あのお店は、ずっと自分の家族の中から後継者を選んでる老舗なのに、一体何があったんだろうね~。

なんでも、今の社長の息子さんはどう考えても経営が向いてない、って辞退したらしくて、ずっとあのお店で働いてたお弟子さんが継ぐってことらしいニャン。

ああ、あの息子さん、何カ月もまとめてお休みをとって、外国に一人旅に出るために働いてる人だからね。自分が継いだら、売り家と唐様で書く三代目になりかねないって思ったんじゃないかな。話も面白くて、すっごく良い人なんだけどね~。
「売り家と唐様で書く三代目」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・あの店構えだけでも大層なもんやろ。世間では、学者に二代なく長者三代伝わらずとか、売り家と唐様で書く三代目とかいうてる。けどあの加賀屋だけは別物やわい。加賀屋があそこで昆布屋を・・・澤田 ふじ子(著)『狐女官』
- 家を継ぐことになった兄は、売り家と唐様で書く三代目にするわけにはいかないと、毎日必死に勉強している。次男の自分は遊び回っていて、なんだか申し訳ない。
- あの床屋さんはおじいさんもその息子さんもとても腕がよかったのだが、ここ数年で跡を継いだお孫さんが派手に遊び歩いていて、売り家と唐様で書く三代目にしてしまった。
隊長、大変だニャン!商店街の和菓子屋さんが世代交代するんだけど、創業者の家族じゃなくて、別の人がお店を継ぐって噂になってるニャン!