ことわざ
鵜の真似をする烏
意味
能力もないのに、みだりに人の真似をして失敗してしまうことのたとえ。
異形
鵜の真似する烏は水を呑む
類句
人真似すれば過ちする
雁が飛べば石亀も地団駄
鯉が踊れば泥鰌も踊る
人の真似すれば過ちする
魚の真似する目高
猿が髭揉む
竜を描きて狗に類す
西施の顰に効う
補説
鵜は、伝統的な夜の漁である「鵜飼」などで知られている、黒い羽毛を持った水鳥で、潜水を得意とします。同じく黒い鳥であるカラスですが、こちらはわずかな間に水を浴びることはあっても、鵜のように泳ぐことはできないので、見た目が似ているからと真似しても、溺れてしまうだけです。これが転じて、自分の力量を考えず、ただ才能のある人の真似をしても、必ず失敗してしまう、ということを意味することわざとして生まれたのが、この「鵜の真似をする烏」です。
単に優れた人を真似ている、という意味で使うと誤用になるので、注意しましょう。
由来は室町時代初期に出版された和歌集『風雅和歌集』だといわれています。
身の丈に合わない真似事は恥をかく事態を招くだけですが、時には人の真似をすることが、成長のきっかけになることもあります。人のいいところは取り入れつつ、自分にしかできない何かを探していければ、とても素敵ですね。
「鵜の真似をする烏」の使い方

フッフッフ。僕のこの、自転車両手放しターボ運転は、一朝一夕では身に付かないのだよ。

ムキーッ!悔しいニャン!今日は失敗して両方の膝をすりむいたけど、オラは絶対諦めないニャン!

すっごくえらそうに言っちゃったけど、実は僕もこれ、習得するのに五年かかったから。鵜の真似をする烏になるだけだよ。しかも危ないし。
「鵜の真似をする烏」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・自分の能力を考えてないのだからね。鵜のまねをする烏なんとやらさ。これは嘲笑である。当人にとっては無念ながら是非もなかろう〉一つの・・・青木 雨彦(著)『ことわざ雨彦流』
- 友達がバレンタインデーには手作りのお菓子を用意するというので、自分もやってみたものの、鵜の真似をする烏にしかならなかった。
- 自分が雑巾を縫っている隣で、鵜の真似をする烏のように針と糸を持ってお手玉を作っていた私を、祖母はいつも褒めてくれたのを覚えている。
イタタ、また転んじゃったニャン…!なんでオラにはできないんだニャン!?