ことわざ
海千山千
意味
色々な経験をするうちに、ずるがしこく、したたかになったさま。
または、そういうしたたかな人をたとえたもの。
類句
海千河線
百戦錬磨
千軍万馬
対義
芋の煮えたも御存知ない
補説
「海と山に千年ずつ住んだ蛇は竜になる」という、中国の故事から生まれた言葉です。
「ものごとをよく知る」という意味を含み、相手の持つ知識や経験の深さを認める一方で、「立派な人」というよりも、ずるがしこいことや、したたかであることを暗に非難する意味合いで使われています。そのため、親しい間柄で、そのずるがしこさも込みで褒めるような意味合いがない限りは、嫌味や非難と捉えられてしまいます。褒め言葉としては使わないのが無難といえるでしょう。
日本では江戸時代~明治時代にかけて「海に千年 山(河)に千年」という形で使われており、「海千山千」はこれの短縮形にあたります。この「海千山千」の形の用例は、大正時代末期のものが最も古いものとなっているため、比較的新しい形といえる言葉です。
「海千山千」の使い方

お魚屋さん行くだけじゃなかったっけ!?すごい荷物だね!

お魚屋さんのおじいちゃんがめちゃくちゃ商売上手で、気づいたらとんでもない量のお魚を買ってたニャン…。うまく断れなくって、ごめんニャン…。

あのおじいちゃん、のんびりしてそうに見えて、実は結構海千山千なところあるからなあ~。まあ、ここのお魚は鮮度がよくておいしい物ばかりだし、冷凍庫もまだ余裕あるから、大丈夫だよ。
「海千山千」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・いずれにせよ、しょせん芸能プロってのは華やかなようでいて薄汚い芸能界の海千山千の連中がとぐろを巻いてるところさ。よくよくの覚悟がなくちゃ、近づくところじゃねえ・・・五木 寛之(著)『青春の門』
- ・・・バコバコ撮ったらその家の人間がどう思うか、という発想はまず浮かばないのだろう。海千山千の本職のカメラマン・吉田さんは、タバコをふかしながら 「僕はもう少し繊細ですから・・・大泉 実成(著)『水木しげるの大冒険』
- ・・・それにね、こういうことをするときには、もう無垢の幼女とは言えないわ。海千山千の大年増みたいなものよ!」 彼女がわたしのおかしな言い分をじっくり考え、従うしか・・・ヘンリー・ジェイムズ(著)/ 行方 昭夫(訳)『ねじの回転;デイジー・ミラー』
ただいま~。買いすぎちゃったニャン…。