ことわざ
梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる
意味
青梅の種には毒があるので、決して食べてはならないという戒めのことば。
補説
「天神」とは、平安時代の貴族のである菅原道真のことを意味しており、道真が梅を愛した、という故事が由来とされる言葉です。道真は学問の神様として祀られているため「梅の種を噛むと字を忘れる」という俗説も存在しています。
しかし、梅の種を食べてはいけない理由は、決して字を忘れてしまうからではありません。春にはきれいな花を咲かせ、おいしい実でも私たちを楽しませてくれる梅ですが、熟す前の青梅の種の中には「アミグダリン」という物質が含まれており、これが私たちの体内の酵素で分解されることによって青酸を作り出し、重篤な中毒症状を引き起こす可能性があります。この梅の種の毒性をなくして安心安全に食べられるようにする工夫として、青梅を梅干しや梅酒などに加工する「梅仕事」が、現代まで受け継がれているのです。
そうした加工の技術だけでなく、青梅の種をそのまま食べることの危険性を、わかりやすく伝えるために生まれたのがこの「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」という言葉です。
「梅は食うとも種食うな~」と表記されていることもありますが、意味することは同じです。
「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」の使い方

わーっ、ありたがく頂戴しよう!たくさんあるから、梅干しと梅ジュース、どっちもつくれそうだ。

こんなにツヤツヤでキレイな色してるのに、加工しないと食べられないニャンね~。おばあちゃんが言ってたニャン。

もったいない気がしちゃうけど、梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござるってね~。さて、梅ジュースを作るために氷砂糖を買ってこよう。
「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・今では何者の言出してや、梅を喰ふとも種くふな、中に天神寐てござる、と戒むる程のことなれば・・・著者不明『滑稽本 古朽木』
- 祖母はいつも「梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる」と言いながら、庭でとれた梅を楽しそうに加工していて、それを見ていた私も、梅干しを作るのが得意になってしまった。
- 子供が道に落ちていた青梅を拾って食べようとしていたのを、間一髪止めることができた。梅は食うとも核食うな、中に天神寝てござる、を知らない人はかなり多いのだろう。
おやつ大人買いしたら、駄菓子屋のおばあちゃんが庭でとれた梅の実をくれたんだニャン。