ことわざ
氏より育ち
意味
人の性格や立ち振る舞いには、生まれついた身分や家柄よりも、育った環境やしつけのほうが影響するということ。
類句
家柄より芋茎
兎角育ちは恥しきもの
人は氏より育ち
生まれつきより育ちが第一
育ちは育ち
対義
氏素性は争われぬ
蛙の子は蛙
瓜の蔓には茄子はならぬ
氏素性とは恥しきもの
上智と下愚とは移らず
補説
ここでの「氏」は、先祖代々引き継がれるもの、家系、という意味になります。
生まれた家の身分がいくら高いものであろうと、人となりを作っていく上で大切なのはその後の教育やしつけなどの環境要因が大切だ、と教えてくれていることわざです。
転じて、人柄を決めるのは本人の努力、という教訓でもあります。
上方版いろはかるたにも登場する言葉で、「人は氏より育ち」と表記されていることもあります。
誰かの評判や、人となりを評価する場面で使われる言葉ですが、家柄を品定めするような表現を含んでいますので、本人に直接伝えると失礼にあたります。褒め言葉で用いられることが多いとはいえ、使用する際は気をつけましょう。
「氏より育ち」の使い方

お、お魚スイーツ…?おいしいもの、たくさん買えた?

目当てのお魚タルトは買えたんだけど、女の人に家柄を自慢しながら札束をぴらぴらさせてる男の人がオラの前に並んでて、なんかいやだったニャン。

スイーツ買いに行っただけなのに、氏より育ちの大切さを、垣間見てしまったんだね…。
「氏より育ち」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・この二人は自分の母が京の公卿の血を受けたひとだということなど知るはずもなく、氏より育ちとはまことに人間のたよりなさ、生まれ落ちたこの山奥が自分たちの親代々の故郷とのんきに合点して・・・太宰 治(著)『新釈諸国噺』
- ・・・彼の疑問は、言ってみれば、「氏か育ちか」といったところであろう。ことわざに、「氏より育ち」というのがある。これは「血統よりも境遇の影響のほうが大きい。素性のよさよりも・・・青木 雨彦(著)『ことわざ雨彦流』
- 子供の頃は貧しかったという同僚だが、お母さんが厳しい人だったとのことで、立ち振る舞いやマナーがとてもきれいだ。失礼かもしれないが、氏より育ちは大切なことなのだと思う。
今日オラは、デパ地下のお魚スイーツの催事に行ってきたんだニャン。