ことわざ
内股膏薬
意味
しっかりした意見や主張をせずに、都合次第で立場を変える人物をたとえたもの。
類句
二股膏薬
股座膏薬
日和見主義
長いものに巻かれる
勝ち馬に乗る
補説
「膏薬」とは、皮膚に塗る外用薬のことで、この中には、現在もよく使われる「軟膏」も含まれています。この膏薬を太ももの内側に塗ると、右足についたり左足についたりすることから、これが転じて、その時々の都合で態度や考え方を変え、味方に付く人も変えるなど、節操のない人のたとえになっています。
状況を判断し、よりよいものを選び取るのは身に付けておきたい処世術のひとつですが、程々にしておかなければこうして嘲笑の対象になってしまうため、気をつけたいところですね。
このことわざの由来の詳細についてはわかっていませんが、文献としては日本語をポルトガル語で解説した1603年の「日葡辞書」や、江戸時代中期の浄瑠璃「鬼一法眼三略巻」の台詞などに登場しているものが残っており、かなり古くから使われている表現であることは確かです。
うちまた「こうやく」と読まれることもありますが、意味は変わらず同じです。
「内股膏薬」の使い方

すごく怒っている女の人2人と、なんか謝ってる男の人…?まさか、ラーメン屋さんでこんな状況を目撃することになるとは…。

男の人、より怒ってるほうにだけ必死に謝ってるっぽいニャンね…。あ、でも、女の人は2人とも怒って帰ったみたいニャン。

あの状況で咄嗟に判断する内股膏薬ぶり、すごい…。それにしても、猫くんと一緒にいると、すごい現場にばかり遭遇してる気がするな…。
「内股膏薬」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・千次を取っ捉まえて調べると、果たしてそうでした。いわゆる内股膏薬で、敵にも付けば味方にも付く。義理人情は構わない、銭になれば何でもする。こういう安っぽいやつに逢っちゃあ堪りません・・・岡本 綺堂(著)『半七捕物帳』
- あの人は悪い人ではないのだけれど、ちょっと内股膏薬ぎみなところが気になってしまい、どうしても深く仲良くしようとは思えない。
- 内股膏薬なところはあるが、基本的に同僚は仕事もできるし、営業成績はいつもトップを独走しているので、処世術としては成功しているのだろう。
ン…?は、隊長、あれは…!