ことわざ
いずれ菖蒲か杜若
意味
いずれも優れていて優劣がつけ難く、ひとつを選ぶのに迷うことのたとえ。
類句
いずれ菖蒲
兄たり難く弟たり難し
補説
菖蒲と杜若はどちらも美しいアヤメ科の花で、見た目にはほとんど違いがありません。
このことから、いずれも優れていて優劣をつけがたく、一つに選べないことのたとえとして使われるようになったことわざです。
由来は室町時代ごろに出版されたとされる『太平記』という物語にあり、登場人物である源頼政が、鵺という妖怪を退治した褒美として「菖蒲前」という美女を賜る際、12人の美女の中から彼女を探すよう命じられて詠んだ和歌にあるとされています。
このエピソードから、美しい女性に対して用いられることが多い言葉ですが、優れたものを選ぶ際に迷っている状況であれば、どのようなシチュエーションで使っても、誤りというわけではありません。
類句にある通り「いずれ菖蒲」のみで用いられることもあり、意味は同じですが、この表記だと、より迷っているというニュアンスが強調される形になります。
「いずれ菖蒲か杜若」の使い方

猫くん、ケーキセットのケーキ、どれにするか決まった?

最初はチーズケーキがいいかなって思ったんだけど、だんだんこのイチゴタルトもおいしそうに見えてきちゃって、全然決められないんだニャン…。

わかる、僕もなんだよね。こういうの、どれもおいしそうで、いずれ菖蒲か杜若になっちゃう。
そこで提案なんだけど、1個ずつ違うの頼んで、半分こにしない?
「いずれ菖蒲か杜若」の例文
- 新人作家の賞レースの審査員の仕事を引き受けたはいいものの、どれも面白いし、優勝候補の2作にいたっては、もはやいずれ菖蒲か杜若だ、すっかり困ってしまった。
- 一生に一度の結婚式なのでドレスにこだわりたいとは思っているが、どれも綺麗で迷っている。いずれ菖蒲か杜若とはこういうことなのかもしれない。
- 今はお腹がすいているので、食べなれたファミレスのメニューがいずれ菖蒲か杜若かのようにどれも魅力的に見えてしまう。
ウ~ン、あれも、これも、どれも美味しそうに見えちゃうニャンね~。