「鰯で精進落ち」の意味・使い方・例文(類句)

鰯で精進落ちの意味・使い方・例文

ことわざ
いわし精進落しょうじんお

意味
長い間耐えてきた気持ちが報われないことのたとえ。
また、つまらないことで努力を無駄にしてしまうこと。

類句
鰯で飲んで精進落とす

補説
今ではあまり見かけないかもしれませんが、昔は親類に不幸があると、肉、魚などを絶ち、忌明けするまでの間、精進料理のみを食べる習慣がありました。忌明けにはお坊さんも招待して宴をするのですが、この席にいつでも食べられるイワシのような魚を食べることが、「ここまでの努力を無駄にする」ことの例えになっています。
このほかには、つまらないことで大切な誓いを破ったり、つまらない人を相手にして、不名誉な目に遭ってしまったりした時にも使われている表現です。
イワシにとってはなんだか失礼な話ですが、昔は安く、手に入りやすい魚の代表格として扱われていたため、このような形で登場することになってしまいました。
そんなイワシの名誉を挽回する豆知識ですが、イワシで作られた煮干しに含まれるカルシウムは、10グラムで牛乳200ml以上に匹敵します。
実は「泳ぐカルシウム」という異名を持っているほどのカルシウムを含んでいるうえに、最近話題のEPAやDHAも豊富で、栄養価が高い魚なんですよ。

「鰯で精進落ち」の使い方

助手猫

隊長、今日はオラ、おいしい餃子を焼いたニャン。ご飯にするニャン。

ことわざ探検隊

ありがとう、じゃあ僕はご飯をよそって…ん?猫くん、ごはん炊けてないみたいなんだけど…。

助手猫

アッ!オラとしたことが、炊飯器のスイッチ入れるの忘れてたニャン…!痛恨のミスだニャン…餃子は焼きたてが一番なのに…。

ことわざ探検隊

鰯で精進落ちになるところだったね。でも猫くん、落ち込むにはまだ早いよ。僕くらいになると、パックご飯を常備してあるからね。

「鰯で精進落ち」の例文(文学作品などの使用例)

  • ・・・六年の操をふとした機会で破ろうとした。「鰯で精進落ち」とはこんなことだろうとも思われた・・・正宗 白鳥(著)『泥人形』
  • 資格を取るために必死に勉強してきたが、試験の日程を間違えて、それが無になってしまった。こんなところで鰯で精進落ちを味わいたくなかった。
  • 寝坊して、前日から準備していた今年最後の燃えるゴミを出すことができなかった。次回収集は十日後なのに、鰯で精進落ちにもほどがある。

北澤篤史サイト運営者
1984年(昭和59年)、大阪府生まれ。言葉への関心が高じ、「ことわざ」「漢字」「四字熟語」をテーマに複数のウェブサイトを立ち上げる。これらのサイトは、小中学校の教材として利用されるほか、単語カードやタイピングゲームなど多様な形で活用されている。ことわざ学会研究フォーラムでは、「備えあれば憂いなし:ことわざを通して意識づける災害時の命を守る知恵」「WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか」などをテーマに研究報告を行う。著書に『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社)、『マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉』(講談社)がある。

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