ことわざ
医者の不養生
意味
人には立派なことを言っておきながら、自分はまるで実行していないことのたとえ。
類句
紺屋の白袴
大工の掘っ立て
坊主の不信心
髪結いの乱れ髪
左官の荒壁
儒者の不身持ち
かご持ちかご乗らず
補説
人には立派なことを言っておきながら、自分のことには手が回っていない人の事を「患者に養生するよう言う医者が、自分は健康に気を配っていない」とたとえています。
本来は職業に関係なく使われる言葉ですが、医者という特定の職業が出てきていることから、医療や専門職の人に限定して使われがちです。
類句にある「坊主の不信心」や「儒者の不身持ち」とともに用いられることもあります。
江戸時代に風来山人(平賀源内)が残した『風流志道軒伝』に「医者の不養生、坊主の不信心」という一節が登場したことから、このことわざはここから誕生したものとされています。
このことわざの生みの親である平賀源内は、江戸時代の発明家です。さらに、医者でもあり、俳人でもあり、源内焼という美しい陶磁器の手法も広め、浄瑠璃の人気作家や西洋画家としての顔も持っている、マルチな才能に恵まれたインフルエンサーのような人でした。
実は「土用の丑の日のうなぎ」も、この平賀源内が仕掛け人となって広めたものです。
英語
Physician, heal thyself.(医者よ、自らを癒せ)
英語の声:音読さん
「医者の不養生」の使い方

猫くん、注射嫌いなのに、ちゃんと行ったんだね~!えらいじゃない!

すごく無愛想で怖い先生で、ムスッとしながら「おやつ食べすぎ」って全然関係ないことまで注意されたんだけど…。
その先生が、病院の裏口のあたりで隠れてめちゃくちゃお菓子食べながらタバコ吸ってるのを見ちゃって、なんかオラ、胸が苦しくなったニャン…。

絵に描いたような、医者の不養生だ…先生も忙しくて疲れてるのかな…。猫くんは、確かにおやつ食べすぎだけど…。
「医者の不養生」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・考えさせられた三人の医学者の事例を紹介しましょう。 昔から「紺屋の白袴」とか「医者の不養生」などといいますが、一般に医者は短命が多く、がんでの死亡率が高いことで知られてい・・・星野 孝(著)『がんはやっぱりストレスが原因だった』
- ・・・紺屋の白袴、医者の不養生ということもあるが、物理の学徒らが日常お互いに自由に話し合う場合の用語には存外合理的でないものが多数にあって・・・寺田 寅彦(著)『蛍光板』
- ・・・医者の不養生、坊主の不信心、昔よりして然り・・・風来山人(平賀源内)著『風流志道軒伝』
インフルエンザが流行ってるから、予防注射に行ってきたんだニャン。