ことわざ
一将功成りて万骨枯る
意味
特に戦争や競争において、一人の成功者が、その影にあった多くの人の努力や犠牲を忘れてしまうことのたとえ。
類句
小の虫を殺して大の虫を助ける
補説
中国唐代末期の詩人である、曹松の漢詩「己亥歳」の一節で、将軍たちが名を上げることを目指して戦争をしているその裏側には、おびただしい数の兵士の犠牲があることを嘆いたのが由来となっています。
曹松は戦乱によって苦しむ庶民の生活を憂い、自らの功績ばかりを追求する、将軍たちの姿勢を批判していたのです。
元の意味である戦争だけでなく「上司が部下の手柄を独占する」というような、仕事や社会的な成功といった場面でも用いられており、成功者の裏側で人知れず努力していた、縁の下の力持ちの存在を決して忘れないように、という戒めも含んだ言葉です。
「一将功なって万骨枯る」とされていることもありますが、意味は同じです。
「一将功成りて万骨枯る」の使い方

猫くん、またそのアニメ見てるの?これね~、面白いよね~。

それにしてもこの敵のボス、部下の手柄は独り占めしてくるし、えらそうだし、めちゃくちゃイヤなやつだニャン。絶対身近にいてほしくないニャンね。

こういう、一将功なりて万骨枯るみたいな人は世の中に結構いるけど、できるだけ会いたくないよね~。支えてくれる人は大事にしないと。
「一将功成りて万骨枯る」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・昔から“一将功成りて万骨枯る”ということわざがある。たしかにこれは一面の真実をあらわしているといえよう。つまり、一人の大将が功を成すためには、戦場で多くの兵卒たちが死ぬ。・・・松下 幸之助(著)『なぜ』
- ・・・舅や夫の位牌にぬかずき、いつのまにか心中で亡夫の霊に語りかけていた。 あなた、一将功成りて万骨枯ると申しますが、あの日向の戦いは、一将も功ならず万骨枯る、でしたね。あの戦いを境に・・・赤瀬川 隼(著)『天紙風筆』
- ・・・三つの戦争は、そのときどきで英雄大将を生みつつ一方では日本の街頭に廃兵の薬売りの姿を現出し、一将功なって万骨枯る、の思いを与えた・・・宮本 百合子(著)『平和への荷役』
隊長、このアニメ、ホントにすっごい面白いニャンね!