「一斑を見て全豹を知る」の意味・使い方・例文(類句)

一斑を見て全豹を知るの意味・使い方・例文

ことわざ
一斑いっぱん全豹ぜんぴょう

意味
ものごとの一部を見て、全体を推し量る見識の狭さをたとえたもの。

異形
一斑を見て全豹をぼく
一斑を見て全豹を評す

類句
一斑以て全豹を推す
全豹一斑
一斑の豹
管窺蠡測かんきれいそく

補説
「斑」はまだら模様のことで、豹の持つ特徴的な柄の毛皮を意味しています。
このことわざは、そのまだら模様のひとつを見て全体を見た気になり「これは豹だ!」と盲目的に信じ込むことの見識の狭さを指摘しているものです。
出典は644年に中国で出版された歴史書『晋書』で、異形の項目にある「一斑を見て全豹をぼくす」の形で掲載されていました。
「断片的な情報を信じるのではなく、様々な角度から物事を見た上で、自ら判断することを忘れないように」という教訓が含まれており、インターネットやSNSが発達し、情報社会といわれている現代でこそ、肝に銘じておきたい言葉です。
「見識の狭さ」に対する指摘や注意喚起であり、「少ない情報から全体を推察できる賢い人」というような褒めるニュアンスは含んでいないため、場面や相手によっては失礼にあたる場合があります。会話の中で用いる際は注意しましょう。

「一斑を見て全豹を知る」の使い方

助手猫

ムムム、どれにしようかニャン。スマホの機種変更って、お店まで来てもまだ迷うニャンね~。

ことわざ探検隊

猫くん、まだ機種決めてないの?僕、先に受付しに行っちゃうよ?

助手猫

隊長は毎回、スッと決められてすごいニャン。オラ、あれは見た目がかわいいとか、スペックはこっちのほうがよさそう…とか、いっつもお店で迷っちゃうニャンよ~。

ことわざ探検隊

う~ん、僕は同じシリーズの新しい機種を使いがちなだけなんだけどね~。一斑を見て全豹を知るっていうしさ、猫くんみたいにしっかり比較して選ぶのも、大事だよ。

「一斑を見て全豹を知る」の例文

  • うちの母は、一斑を見て全豹を知るような考え方をしがちで、早とちりが多いので、家族はわりと振り回されている。
  • 話題になっている推理小説を買って読んでみたが、探偵が一斑を見て全豹を知るようなことばかり言っているので、申し訳ないけど何が面白いかよくわからなかった。
  • 待ち合わせ場所についたら、酔った友人が道端に捨てられたビニール袋に向かって話しかけていた。道が暗かったこともあって野良猫と見間違えたらしいが、よく見たらわかるだろう。一斑を見て全豹を知るとはこのことだろうか。

北澤篤史サイト運営者
1984年(昭和59年)、大阪府生まれ。言葉への関心が高じ、「ことわざ」「漢字」「四字熟語」をテーマに複数のウェブサイトを立ち上げる。これらのサイトは、小中学校の教材として利用されるほか、単語カードやタイピングゲームなど多様な形で活用されている。ことわざ学会研究フォーラムでは、「備えあれば憂いなし:ことわざを通して意識づける災害時の命を守る知恵」「WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか」などをテーマに研究報告を行う。著書に『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社)、『マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉』(講談社)がある。

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