「一犬虚に吠ゆれば万犬実に伝う」の意味・使い方・例文（類句）

ことわざ
一犬虚いっけんきょに吠ほゆれば万犬実ばんけんじつに伝つたう

意味
一人がいい加減なことを言い出すと、世間もそれを事実として広めてしまうことのたとえ。

類句
一犬影に吠ゆれば百犬声に吠ゆ
一人虚を伝うれば万人実を伝う
一匹の馬が狂えば千匹の馬が狂う
一鶏鳴けば万鶏歌う

補説
一匹の犬が吠えると、その声を聞いた他の犬が吠え出すように、誰か一人がいい加減なことや嘘を言うと、世間もそれを事実として広めてしまう、ということわざです。
中国の後漢時代（25年―225年）の思想家である、王符という人物が書いた社会批判の本『潜夫論』がルーツといわれています。
人から聞いた情報を違う誰かに広める前に、一度自分で受け止めて本当かどうか調べたり、考えたりすることの大切さという教訓を含んでいます。
かなり歴史があることわざですが、インターネットが発達し、SNSなどが普及している現代でこそ、この言葉の持つ意味を考えていかなければならないのかもしれません。
「虚」が「影」や「形」と表記されたり、「千犬」「百犬」など、犬の数が減って表記されているものもありますが、意味はすべて同じです。

「一犬虚に吠ゆれば万犬実に伝う」の使い方

見に行こうと思ってた映画が、SNSでネタバレされちゃってたニャン…。

それはイヤだね～！見ちゃったの？

その投稿、すっごくバズってオラのところにも流れてきて、うっかり見ちゃったニャンよ～。悔しいから、ホントかどうかわからないと思って過ごすことにするニャン。

そうそう、一犬虚に吠ゆれば万犬実に伝うっていうしね。みんなが騒いでも、自分の目で映画見るまではホントかわからないんだから、忘れるのが一番！元気出して！

「一犬虚に吠ゆれば万犬実に伝う」の例文

北澤篤史サイト運営者

1984年（昭和59年）、大阪府生まれ。言葉への関心が高じ、「ことわざ」「漢字」「四字熟語」をテーマに複数のウェブサイトを立ち上げる。これらのサイトは、小中学校の教材として利用されるほか、単語カードやタイピングゲームなど多様な形で活用されている。ことわざ学会研究フォーラムでは、「備えあれば憂いなし：ことわざを通して意識づける災害時の命を守る知恵」「WEB上でのことわざ探求：人々が何を知りたいのか」などをテーマに研究報告を行う。著書に『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』（講談社）、『マンガでわかる すごい！ことわざ図鑑〈試験に出る〉』（講談社）がある。