ことわざ
行き掛けの駄賃
意味
本来の目的である用事のついでに、別の事をして利益を得ることのたとえ。
または、悪事のついでに別の悪事もすることをいう。
類句
朝駆けの駄賃
帰り掛けの駄賃
往に掛けの駄賃
帰り馬の駄賃
補説
馬で荷物を運ぶ「馬子」という仕事をしている人が、その日運ぶ荷物を依頼主のところに取りに行くまでの間にもお小遣いを稼ごうと、別の荷物を運んで利益を得ていたことから生まれました。
「ちょっとついでに」なるような、本来の用事より小さい用事を足すときに用いられます。
これだけだと空いた時間も有効活用するちゃっかり者、のようなニュアンスに見えますが、悪だくみのついでに別の悪事を働くという意味もある、ちょっぴり二面性があることわざでもあります。
「行き掛け」は「いきがけ」と読む場合も「ゆきがけ」と読む場合もありますが、どちらも誤りではありません。
なお、「もののついでに」という意味で用いる表現のため、ビジネスの場面などで使う時には注意しましょう。
「行き掛けの駄賃」の使い方

今日は特にないけど、猫くんすごい大荷物だね、どこ行くの?

今日はお気に入りの毛布をコインランドリーに持っていくから、それを回してる間に友達のところに寄って借りた本を返したら、ネットオークションで売れたものを郵便局で発送して、中古屋さんでマンガとゲームを売って、そのお金で高級お魚せんべいを買って、洗ってフカフカになった毛布を引き取って帰ってくるんだニャン。

どれが本来の目的で、どれが行き掛けの駄賃にあたるのかわからないくらい、ものすごいハードスケジュールだ…。僕、一緒に行こうか…?
「行き掛けの駄賃」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・隠したとはいっても、粗末な倉庫に置いてあるだけだ。今にもドイツ兵に踏み込まれ、行き掛けの駄賃に貴重な作品を奪われてしまうのではないか。日置とジェルメーヌは気もそぞろで、身を・・・石田 修大(著)『幻の美術館』
- ・・・かたしか綾子はできなかった。暴民と一口にいってもさまざまあり、単なる憂さはらしが行きがけの駄賃とばかり物を盗るのや、最初から殺人も辞さないような強盗専門もあるのだが、温が戦後・・・宮尾 登美子(著)『朱夏』
- ・・・多摩川の河原へ運んで捨てた。行きがけの駄賃に、彼女の所持金や腕時計を奪った。現場に能古見人形を落としたことには気がつかなか・・・森村 誠一(著)『雪煙』
隊長~、何かお使いあるかニャン?