「一文惜しみの百知らず」の意味・使い方・例文(類句・対義・英語)

一文惜しみの百知らずの意味・使い方・例文

ことわざ
一文惜いちもんおしみの百知ひゃくしらず

意味
目先の損得にのみ気を取られて、あとで大損することに気づいていない人を嘲笑するたとえ。

異形
一文惜しみの百失い

類句
一文惜しみの百損
一文拾いの百落とし
一文儲けの百使い
小利を貪って大利を失う
一文惜しみの四十六もんめを知らず
安物買いの銭失い

対義
損して得取れ

補説
「一文」は江戸時代の貨幣の最小の単位のことです。
この、たった一文を出し惜しんだばかりに、後で百文もの大損をすることに、気づいていない人の愚かさをたとえたことわざです。
江戸時代の浮世草子作家、井原西鶴の作品『武家義理物語』で、小銭を川に落とした武士が、三貫(一貫=現代で約12万円、三貫は35万円くらい)もの大金を払って人にそれを探させた、という物語に登場したのが由来といわれています。
「一文惜しみの百知らず」は、武士を騙した男の台詞として登場するのですが、この武士がたった数円のお金を探させるために大金を払ったのは「川に落ちた小銭は見つけなければそのままであり、国の資産を失うという意味では損になるが、自分が払った三貫はそのまま流通して、世の中のためになるから無駄ではない」という考えがあってのことでした。
こうした背景を考えると、本来の意味とは別のところで、奥の深さを感じることわざでもあります。
「一文吝みの百知らず」と表記されることもありますが、読み方と意味は同じです。

英語
Penny wise,pound foolish.(ペニーに賢く、ポンドには愚か)

英語の声:音読さん

「一文惜しみの百知らず」の使い方

助手猫

ひどい…あまりにも…なんてひどいことをするニャン…。

ことわざ探検隊

猫くん、さっきまで「ニャン田一少年の事件簿」の全巻セットを中古で安く買えた~!って喜んでなかった?どうしたのさ?

助手猫

これ全部、赤ペンで犯人にマル付けてあるんだニャン…。
こんなことなら、お金と時間はかかっても、新刊をコツコツ集めて買えばよかったニャン…。

ことわざ探検隊

一文惜しみの百知らずとはいえ、それで片付けてはあまりにもかわいそうだ…むごい…。

「一文惜しみの百知らず」の例文(文学作品などの使用例)

  • ・・・智恵の浅瀬を渡る下々の心には、青砥の深慮が解しかね、一文惜しみの百知らず、と笑いののしった・・・太宰 治(著)『新釈諸国噺』
  • バイト先の店長が経費を出し渋って買った安いフライパンは、すぐにくっついて使い物にならなくなったので、すぐに買い替えることになってしまった。一文惜しみの百知らずもいいところだと噂されている。
  • セールの時に「きっとまだ安くなる」と欲を出してしまって買っておかなかったせいで、欲しかった靴がすごく高くなってしまった。一文惜しみの百知らずだった。

北澤篤史サイト運営者
1984年(昭和59年)、大阪府生まれ。言葉への関心が高じ、「ことわざ」「漢字」「四字熟語」をテーマに複数のウェブサイトを立ち上げる。これらのサイトは、小中学校の教材として利用されるほか、単語カードやタイピングゲームなど多様な形で活用されている。ことわざ学会研究フォーラムでは、「備えあれば憂いなし:ことわざを通して意識づける災害時の命を守る知恵」「WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか」などをテーマに研究報告を行う。著書に『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社)、『マンガでわかる すごい!ことわざ図鑑〈試験に出る〉』(講談社)がある。

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