ことわざ
一事が万事
意味
ひとつを見れば、すべてのことが判断できることのたとえ。
類句
一を以って万を知る
一を聞いて十を知る
対義
木を見て森を見ず
鹿を追う者は山を見ず
補説
人物やものごとは、一部を見るだけで全ての事柄を推し量ることができる、という意味のことわざです。
ハッキリした由来やエピソードは特にない言葉ですが、誕生の背景には、古くから、中国や日本で、人となりを判断する材料として、見た目やふるまいを重視してきたことがあると考えられます。
ビジネスなどのシチュエーションでよく耳にする言葉ですが、注意喚起や嫌味、皮肉など、ネガティブな意味合いで使われることが多いので、目上の人に対する言葉としては適しません。
「一事が万事の知識」などという「何でも知っている人」のような使い方は誤用なので、気を付けましょう。
「一事が万事」の使い方

猫くん!今日という今日は大掃除するよ!

ウワーッ!嫌だニャン!今日も寒いし、オラは絶対お布団から出ないニャンよ!

大掃除もできずにいたら、世の中から一事が万事だらしない人だと思われても仕方ないよ!
終わったらお魚せんべい買ってあげるから、さあ起きて!
「一事が万事」の例文(文学作品などの使用例)
- ・・・馬鹿っ。よけいひと眼につくわい。牧口の非常識に唯野は仰天する。 「一事が万事かくの如く慎重に行動し、厳重に警戒しているのだから、そっちも要心してくれ。電話に・・・筒井 康隆(著)『文学部唯野教授』
- ・・・祭りの酒手に加えるよ」と言うが、実際には着服してそしらぬ顔である。 「一事が万事、あの男はやることが汚い」 根が正直いっぽうの伊兵衛はけぎらいし、ことごとにこれ・・・杉本 苑子(著)『姿見ずの橋』
- ・・・サンダルは薄くて、石ころを踏みつけた時の痛みがじかに伝わってくる。一事が万事そうである。敬虔なテレサにとって、ロザリオを繰りながら祈りを唱えることができない・・・シドニィ・シェルダン(著)/ 天馬 龍行(訳)/紀 泰隆(訳)『時間の砂』
そろそろ大掃除しないとだけど、まだ朝の7時だし、めんどくさいニャンね~。今日もお布団から出たくないニャン。